空気と電気のちょっと気になる話

住まいと健康

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シックハウス症候群の主な原因

シックハウス症候群は、住宅の建材や内装材、家具などから揮発する化学物質(揮発性有機化合物=VOC)や、換気不足による室内空気の汚染が原因となって発症します。

 

特に注意すべきは以下の物質です:

  • 【ホルムアルデヒド】屋根、壁、床に使う合板・接着剤・防腐剤などに含まれ、代表的なVOCの一つ。目や喉への刺激、呼吸器症状を引き起こす。

  • 【トルエン・キシレン】塗料や接着剤に含まれ、中枢神経系への影響や頭痛・倦怠感の原因に。

  • 【可塑剤】塩ビ製品に使用され、呼吸器系・環境ホルモンも懸念される。

 

さらに、近年の高気密・高断熱住宅では自然換気が不十分となり、これらの化学物質が室内に滞留しやすく、症状のリスクが高まります。


シックハウス症候群の主な症状

呼吸器系の症状

  • 鼻づまり、鼻水、咳、喉の痛み、動悸

  • 喘息様症状(呼吸困難、喘鳴)

  • 呼吸器アレルギーや気管支過敏の悪化

  • 目のかゆみ、乾燥感、充血

  • のどのヒリヒリ感や乾燥

  • 肌のかぶれ、湿疹、皮膚炎

中枢神経系への影響

  • 頭痛、めまい、集中力低下

  • 慢性的な倦怠感・眠気

  • 情緒不安定、不眠、不安感

消化器・自律神経系の症状

  • 吐き気、食欲不振

  • 動悸、発汗、冷え

  • 不定愁訴(検査では異常が見られないが体調が悪い)

 


シックハウス症候群の改善方法

1.原因物質の特定と除去

  • 室内環境測定を行い、ホルムアルデヒドやVOCの濃度をチェック

  • 原因と思われる家具、建材、内装材(合板家具、防虫カーペットなど)を撤去

  • 新築・リフォーム直後の場合は、数週間〜数ヶ月の換気・空室管理が効果的

2.徹底的な換気

  • 24時間換気システムの使用や定期的な窓開け換気を行う

  • 空気清浄機(活性炭・HEPAフィルター搭載)を併用して有害物質を除去

3.医療機関への相談

  • アレルギー科、呼吸器内科、環境医学専門のクリニックなどでの診察を推奨

  • 症状に応じて抗アレルギー薬、自律神経調整薬などを処方されることも

4.一時的な環境の変更

  • 状況が深刻な場合は、一時的に他の住居(ホテル、親戚宅など)への避難も検討

  • 学校や職場での対処が必要な場合、診断書を用いた環境調整を依頼

 


シックハウス症候群の予防方法

1.建材・内装材の選定に注意

  • 合板・集成材・新建材・接着剤の使用をなるべく使わない

  • 自然素材(漆喰、無垢材、天然由来の塗料など)を積極的に選ぶ

  • 輸入家具や合板家具などVOC放散の多い製品は避ける

2.計画的な換気設計

  • 高気密住宅には第一種換気システムなど、常時換気が可能な設備を導入

  • 換気口の位置や空気の流れを専門家に設計してもらう

3.家具や日用品にも配慮

  • 家具やカーテンも低ホルムアルデヒド製品を選ぶ

  • 防虫剤・芳香剤・柔軟剤など香料の強い製品は避ける


1.室内空気の質が高く、シックハウス対策に有効

  • 無垢材、漆喰、などの自然素材は揮発性有機化合物(VOC)を放出しないため、シックハウス症候群のリスクを大幅に軽減。

  • 特に漆喰はホルムアルデヒドを吸着・分解する機能もあり、空気清浄効果がある。

2.調湿作用で、快適な室内環境を自然に保つ

  • 無垢材・漆喰・などは自然に湿度を吸収・放出する「呼吸する素材」。

  • 夏は湿気を吸い、冬は乾燥を防ぐことで、エアコンに頼りすぎない快適さが得られる。

3.化学物質に過敏な人(子ども・高齢者・アレルギー体質)にも安全

  • 自然素材は化学的な刺激が少ないため、アトピー性皮膚炎・喘息・化学物質過敏症などの既往がある方でも安心して暮らせる。

  • 香料や添加剤を含む人工建材と比べて、身体への負荷が圧倒的に低い。


住まいは、家族の健康を守る場所。

だからこそ、見えない不安をひとつずつ取りのぞき、安心して暮らせる空間をつくることが何より大切です。私たちは「住まいの性能」だけでなく、「そこに暮らす人の笑顔と健康」をいちばんに考えた住まいづくりをこれからも続けていきます。